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▼プロフィール
須田騎一朗(すだ きいちろう)さん
早稲田大学 第一文学部中退後、運送会社、出版社、マーケティングリサーチ会社、ISP、広告代理店を経験
1997年 キューアンドエー設立 社長就任。
大手ISPをはじめ、20社以上のサポート業務受託に成功
2001年 横河マルチメディアのサポート事業と経営統合。横河キューアンドエーに称号変更 社長・副社長に就任
2005年 テクネット設立 代表取締役就任


 

  
「本当の奉仕とは?」
ということを考えさせられるインタビューだった。
一つ一つ、どっしりとした重みのある言葉を紡いで下さった、株式会社テクネットの代表取締役社長・須田さん。独特の冷静さの中から、「言い知れない深い情熱」を感じた。
株式会社テクネットでは「業務システム(IT部門)」というツールを通じて「人」へのサービスを提供している。業務内 容だけを見れば、単なる「システムのサポート」という事業内容に感じられるかもしれない。
しかし、そのシステムを使う「人」へのサポートを「人」が行っている、という事を理解し、このインタビューを読んで頂きたい。
システマチックに業務を遂行するのではなく、親切の押し売りをするのでもなく、その「人」それぞれにとっての優先順 位を理解する。それに対して自ら具体的に行動していく。
そうした本当の「奉仕」の心について、読者の皆様と一緒に今 一度考えてみたいと思う。


>>事業内容や業務の流れなどを詳しく教えて頂けますか?
        
 中小企業様(ベンチャー企業様)の業務システム(IT部門/情報システム部)をサポートすること。         
今、業務システムはどんどん便利で複雑なものになって、専門家じゃなければ適切な運用がやりにくくなってきています。でも50人から100人の会社ではコスト的な問題によって、システムの専門家を置く事が出来ません。さらに、中小企業でシステムを運用するには、「たまに」しか専門家が必要じゃない。 でも必ず、「たまに」必要なんです。そこで、私達はそうした「たまに」のニーズにお応えし、トラブルを解消しております。                
私達の仕事はコンピューターやソフトを作る仕事ではないんですよ。出来上がった「もの」をお世話する仕事なんです。しかも、お世話するものは「機械」ではなく、機械を使ってらっしゃる経営者や社員の方々の「何とかして欲しい」という「気持ち」です。人間相手の仕事なんですね。

>>この事業で起業しようと思ったキッカケはなんですか?

 僕は今の事業を立ち上げる前に、30歳で一度起業しています。個人もしくは小さな事業所(SOHO)で利用されるコンピュータのサポートサービスっていうのを8年間やってました。
実は、そちらの会社をやる中で「個人やSOHOだけじゃなく、中小企業(ベンチャー企業)の方々もコンピュータやネットワークに関して非常に困ってるんだけど、ヘルプしてくれる会社が無い」って事に気づいて。
それを「解決したい」と長年思っていたのですが、幸い、会社のビジネスがある程度安定して育って安定してきたので・・・、1年かけてその会社を辞めました。

辞めた後、6ヶ月は起業の準備をしないで、色々考えた。
そもそも、何故この中小企業向けのサポート業を誰もやらないかっていうと、「儲けるのが難しいから」。
だから、僕自身もいざとなると踏み出せない。
他の起業家の方からも、儲かる事業の話をいっぱい聞いたりして・・・、この事業をやるかどうか凄く迷いました。でも、「コレ(中小企業向けのサポート)、俺がやらなかったら、日本の誰もやらないだろうな」とも感じて。

そんな風に葛藤してる最中、ある方からの紹介で、中小企業様からシステムのトラブルに関する発注がはいっちゃったんです。
まだ会社を立ち上げていたわけでもなかったし、内心「そんな事やり始めたらまずい〜!」って思ってるんだけど、根が営業マンなんで、・・・困ってる方が居ると応えちゃうんですね。
で、そこでちょっとしたお手伝いが出来たんです。そのお客様の会社の課題20個ぐらいをヒアリングして、議事録としてお渡ししたりもした。そしたらその方に「これからも助けて頂けるんですか?!」って言われちゃったんです。
で、僕は「勿論ですよっ!」って答えちゃった(笑)。

その瞬間、「もう責任発生したからこの事業をやるしかないな」って思えたんです。たった一社のお客様だから逃げることも出来たんだろうけど、そんな気にはならなかった。こんな小さな案件をやってくれる人は他に居ないし。だからこそ自分は、「損益分岐点を越えるまで絶対に諦めずにお客様を増やし、いいサービスを提供していこう」って決めました。       

>>一度目の起業のキッカケはどういったものでしたか?
         

親父が中小企業の経営者だったという事が大きい。          

高校生の頃は「大企業以外はイラナイ」って思ってて、「小さい会社を経営するお父さん」が恥ずかしかったんですけどね。          
でも大学を辞める頃には「中小企業がいかに経済の中で大切な存在として機能しているのか」って事を考えるようになった。世の中のことが多少判ってきたんでしょうね。          
それで、親孝行したいって気持ちが強まりました。          
親のやってる事を継いで「お父さん僕が引き継ぐから安心してくれ!」って言えるような、中小企業の「運営」が出来る人間になる事が親孝行かな、って思い立ったんです。          
で、労働者と対話ができる人間になるには、自分が労働を経験して修行しなくては・・・って考えて。それで大学辞めて新聞配達少年とかになっちゃった。

>>「起業したい」というよりも、「会社の運営が出来る人間になりたい」というお気持ちだったんですね!ではそういう修行(経験)の中で今も役に立っている経験はありますか?

 まず一つ、肉体労働をやれたのはよかった。
継続力、忍耐力、根性がついたし、病気しなくなった。これは凄く重要です。
それに、ココが僕の出発点になったから「今後万が一失敗してもこの生活に戻ってくればいいんだ」という気持ちになれたよ。

 二つ目は、トラックの運転手をやっていた頃、沢山本を読めた事。
仕事が終わった後、喫茶店をハシゴして毎日読書してました。そこで、ソニー創業者の一人の、盛田昭夫さんの起業ストーリーが書かれた文庫本に出会ったんです。それが一番記憶に残ってます。
「俺もこういう人になりたい」って思いました。「このままでいいのかな」ってモヤモヤした気持ちを持っていた頃だったんで、凄く勇気づけられましたね。

 三つ目は、挫折した事。27歳という若さで、部長の肩書きをもらえたんです。
で、イイ気になっちゃって。そしたら、尊敬している社長から、部長のポジションをはずされちゃったんです。
そうやって仕事がなくなったから、暇になって・・・、丁度その頃、日本にも“出現した”インターネットについて勉強する時間が出来たんです。
一本調子にランクアップしてくよりは、色々な組織の中でポジションを落とされたり指摘を受けたりすることで、凄く成長できたと思います。
 四つ目は、初めて勤めた会社で何でもやらせて貰えた、という事。
1年間ほぼ毎日、企画書・報告書を出しまくりました。それだけ提案すれば、会社全体が僕の影響を受けましたよ。その分、責任も凄く感じるようになりました。
この経験を通して、「仕事は人から与えられるものではなくて自分で生み出すもの」って事を身を持って勉強出来ました。中々実感出来ないことだから、経験できた僕はラッキーでした。

>>テクネットとしての今後の目標を教えて下さい。

 私達は「中小企業の情報システム部」っていうものになりたいんです。
最初にお話した通り、中小企業(ベンチャー)ではこういう部署を置けないんですよ。
だけど、私たちだったら、モチベーションの高い「情報システム部」の要員を中小企業に必要に応じて供給していくことが出来る。
私たちは、その会社の「一員」となって必死で働く。
社員さん達はコンピュータの管理についての不安が無くなって本業に集中できる。
そしたら、その会社はもっともっと発展できますよね。
「中小企業の発展繁栄をITの側面から支援することで、日本の経済に貢献する」それが一番の願いです。         

>>そうした目標達成のために、どんな戦略を立てていらっしゃいますか?

 お客様の獲得戦略は、現在のところ知り合いの紹介のみです。
広告は一切出していません。なぜなら、その分お客様の負担するお金を減らす事が出来るからです。
それに、私達の仕事は、サービス内容を理解してうまく使ってくださるお客様とお付き合いしたほうが成果を出しやすいので、お客様との「信頼関係」が第一です。
そういう「信頼感」は広告では伝えられませんよね。
人財獲得についても紹介重視。
私たちの「志」を共有できる人を探して、長い目で育てていくことが大事だと考えています。
もちろん、売上や利益、会員企業数、スタッフ数などの数値目標も具体的につくっています。         

>>では、目標に向けて努力なさってることはどんなことですか?

イイチームづくりを最も大切にしています。
技術的な能力も勿論大事ですが、人間として信頼して頂けるようなイイチームを作ること。
お客様に喜んで頂いて、信頼関係を築く。そこから、評判が波及していくと思うんです。凄く自然な形で。それが一番の戦略でもあります。         

>>その上で、求める人物(人材)像はどういったものになってきますか?

 テクネットバリュー(下図)っていう、当社が一番大切にしている「価値観」があります。




採用基準は、「志」があるかどうか、という事になりますね。
この志がどんなものかっていうと、「中小企業の情報システム部になって、彼らをサポートしたい」という目標に対して強く賛同出来るかどうか、って事。
僕達の目的は、機械に対してのヘルプをすることではなくて、その機械を使う「人」の「不安」を解消してあげることですから。
お客様の支払える金額内で出来る限りの事をして、お客様に喜んでいただく事が重要になってきます。
人間は結局、人間と接する事でしか、成長しません。
だから、人と接することから逃げちゃいけないんですよ。         

>>須田さん個人としての夢を教えて下さい。

 僕は、30、40、50歳の節目で、ゼロに戻って何かにチャレンジしたいと思ってきました。
それは起業であったり、何か他の事かもしれないけど、とにかく、一人の「ただの人間」としてゼロから作り上げる、という事を節目節目でしていきたいんです。
なぜなら僕の場合、50歳までに、社会的責任を果たせるような素晴らしい人間になりたいって思ってて。
それまでは沢山「修行」したいって感じてます。だからかな。
今は「イイ会社」を作ることに一生懸命になってるけど、50歳になったら「イイ“社会”」を作っていきたいんです。       

>>須田さんの考える「素晴らしい人間」像を教えて頂けますか?

 難しいねえ。僕は一応世界のリーダーになりたい、と思ってます。
でも実際の能力的には10人のリーダーかもしれない。だったら、10人のリーダーを勤め上げればいい。もっと能力が高かったら100人、1000人のリーダーに自然となっていく。
それは自分の能力に応じて自然に決まるもので、その都度謙虚にやり遂げようって思います。
ただ、願わくば、世界のリーダーになりたい。そうやって「世界のリーダー」という気持ちでやってれば、「会社のリーダー」に対するプレッシャーも薄まるしね。
今は「イイ会社」を作ることに一生懸命になってるけど、50歳になったら「イイ“社会”」を作っていきたいんです。       

>>若者へのメッセージをお願い致します

見た目の格好よさだけに惹かれない方がいいですね。
「自分が立派な大人になる為に一番いい環境はどこにあるんだろう」という視点で会社選びをするべきです。
どんな劣悪な環境だって素晴らしい人材っていうのは育つから、恵まれた環境だけを探す必要もないと思う。
ボロボロの環境に行ったら逆に、「仕事は人に与えられるもんじゃない」って考えられる素敵な人になれるかもしれない。
大体、どんな環境でも勉強は出来ますよ。自分の「先生」みたいな存在を勝手につくればいい。先輩でも、取引先の社員さんでもいい。そこから自分で学んで吸収していけばいい。
あと、本当の先生は「本」。どんな経営者の方もおっしゃってると思うんですけど、まず「本」を読んで、人間関係という現実で実践してぶつかって。そしてまた「本」を読んで人間にぶつかって。そうやって繰り返していく。だから、本当の先生は「本」です。本を読まない人はどんどん成長がにぶっていきます。

>>何においても、「自分から動いて考える」ということが大切なんですね。

 更に言うならば、「憧れに向かっていく」というビジョン(イメージ)を具体的に持って動く事が大切です。
憧れの対象はなんでもいいんですよ。テレビでも本でもセミナーのスピーチでも見て、勝手に<素晴らしいもの>として憧れる。
実際その人がどんな人かはわからないけど、そういう<憧れ>に自分が向かって進んでいる、というイメージが大切ですね。是非そういう心の先生を見つけてください。


――はいっ!!有難うございました!
社会をよりよくしたい。それは誰もが思ったり、口にしたりする考えだ。
須田さんは、そうした価値観を「言葉」にすることもなく、ただひたすら自分で考え、行動していた。
具体的に、自分が今どれだけの力を持っているのか、そして今の自分の力量ならば何が出来るのか。冷静に考え、具体的に行動されているのである。
自らの成長を社会に役立たせたい、という純粋な「奉仕」の気持ちが原動力となっているのだろう。
私達学生の夢は「こうしたい、ああしたい」といった理想論に終わりがちだ。もしくは、「人の役に立ちたい!」という言葉(人の目に見えること)で振りかざしてしまう。
そうした情熱も確かにキッカケとしては大切であるが、次のステップとして、ただ黙ってじっくり「自分」を見つめ、現段階で自分は何が出来るのか、相手に対して何をすることが一番大切なのか、ということを考える必要があるだろう。



記事執筆:笛田智子
インタビュー:笛田・志村
インタビュー日:2006年12月7日

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